
プレゼンティーズムをどう測る?組織の見えない損失を明らかにする方法
プレゼンティーズムは、従業員が出勤しているにもかかわらず、心身の不調により十分なパフォーマンスを発揮できない状態を指し、企業の生産性低下や見えない損失の大きな要因となります。本記事では、WHO-HPQやWLQ・WPAIなどの代表的な測定方法、自社アンケートを用いた評価手法のポイント、さらにデータを活用して職場改善につなげる実践策を解説します。
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プレゼンティーズムの代表的な測定方法と特徴
WHO-HPQ:世界標準の評価尺度とその活用方法
プレゼンティーズムを定量的に捉える方法として代表的なのが、WHOが策定した「Health and Work Performance Questionnaire(HPQ)」です。このツールは、従業員本人が業務中のパフォーマンスレベルを自己評価する形式を取り、健康状態の変化が仕事の生産性にどの程度影響しているのかを可視化します。たとえば、「体調が万全なときと比較して、現在の仕事の生産性は何%程度か」といった設問が含まれており、自己申告に基づくスコアから、生産性低下による損失コストを推計することも可能です。
WLQ・WPAIなどの活用:業種・職種別に応じた使い分け
業種や職種に応じた多様な測定ツールも存在します。Work Limitation Questionnaire(WLQ)は、業務上の集中力や時間管理能力の制限などの観点から労働生産性を評価するツールであり、現場職・オフィス職など業務内容の違いにも対応しやすい設計となっています。一方、WPAI(Work Productivity and Activity Impairment)は、直近7日間の労働や日常活動のパフォーマンスに着目しており、より短期間での変化を捉えやすい指標を提供します。
自社アンケート形式で測定する際の留意点(簡易指標化・匿名性)
コストや運用面の観点から、自社でオリジナルのアンケートを用いて測定を行う企業も少なくありません。その際には、業務パフォーマンスの自己評価と健康状態に関する質問を組み合わせ、簡易なスコアを導き出す形式が一般的です。重要なのは、回答者が安心して本音を記入できるよう、匿名性やプライバシーへの配慮を徹底することです。シンプルな設問構成であっても、定期的に実施することで変化の兆しや傾向をとらえるうえでの有効な指標になります。
プレゼンティーズムの測定データをどう職場改善に活かすか
生産性損失を定量化することで経営層への説得力を持たせる
プレゼンティーズムの測定で得られたデータは、企業の健康施策の精度を高める貴重な材料になります。まず、生産性損失を数値として提示できれば、経営層に対しても説得力を持った提案が可能になります。仮に従業員1人あたり月に数時間のパフォーマンス損失が見込まれる場合、それが年間、全社員ベースで見たときにどれほどの生産性損失につながっているかを明示できるのです。これは、健康投資の意思決定において有効な根拠となり得ます。
部署・年代・症状別で「隠れた課題」を炙り出す
さらに、部署や年齢層ごとの傾向をクロス分析することで、従来見落としていた「隠れた課題」に気づけるようになります。たとえば、ある年代や特定の部署において集中力の低下や腰痛といった状態が一定割合以上に認められれば、それに対する支援を重点的に設計することができます。このように、プレゼンティーズムのデータは「誰に、どんな支援が必要か」を見極めるための判断材料となるのです。
改善策の効果検証(Before→After)にも使える
また、改善策の効果検証にも大いに活用できます。たとえば、運動習慣促進のための社内イベントや、チャレ活といった施策を導入する前後でプレゼンティーズムスコアを比較することで、具体的な成果を可視化することができます。その結果は、施策の継続や拡大に向けた判断材料になるだけでなく、社内報や会議で共有することで、従業員の健康行動の促進や組織風土の改善にもつながります。
WellWaで実現する「プレゼンティーズムの可視化と改善」
アンケート機能で心身状態の自己評価をデータ化
プレゼンティーズムという見えにくい課題に対し、WellWaは、見える化と行動変容の両面からアプローチできるプラットフォームです。まず、WellWaのアンケート機能を活用することで、従業員自身が行う心身状態の自己評価を定期的に収集し、データとして蓄積できます。たとえば、業務中の集中力や活力の実感、睡眠の質、体調の安定度などを指標として取り入れることで、職場のコンディションを可視化できます。
チャレ活・ミッションで健康行動を促進→スコア改善へ
また、WellWaが提供する「チャレ活」や「デイリーミッション」は、楽しく継続しやすい健康行動を習慣化させる工夫が詰まっています。こうした施策を通じて、従業員は日常の中で自然と身体を動かし、健康状態を改善しながら、プレゼンティーズムのスコア向上にもつなげることができます。重要なのは、「無理なく」かつ「仕組みを活用して」動機付けるという視点です。
まとめ|プレゼンティーズム対策は健康×仕組みで成果が出る
プレゼンティーズム対策は、単に健康情報を収集するだけでは成果につながりません。重要なのは、従業員自身が自分ごととして行動変容を起こせるよう、継続可能な「仕組み」を職場に組み込むことです。WellWaのように、可視化・習慣化・報酬設計が一体となったプラットフォームを活用すれば、無理なく日常生活に健康を取り戻す文化が根づいていきます。
目に見えない生産性の損失を、データと行動で改善に導く。これこそが、これからの健康経営におけるプレゼンティーズム対策の理想的な形といえるでしょう。



