
食育実践優良法人顕彰制度とは?健康経営を支える食育の全貌と導入ポイント
「食育実践優良法人顕彰制度」は、農林水産省と経済産業省が共同で創設した、従業員の食生活改善に積極的に取り組む企業を評価・表彰する制度です。健康経営や人的資本経営が注目される今、食を通じた健康支援は、企業の生産性向上やエンゲージメント強化につながる重要なテーマとなっています。本記事では、食育実践優良法人顕彰制度の概要や認定メリット、申請条件、導入のポイントをわかりやすく解説します。
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食育実践優良法人顕彰制度の概要と狙い
食育実践優良法人顕彰制度とは
「食育実践優良法人顕彰制度」とは、農林水産省と経済産業省が共同で創設した制度で、従業員に対して食生活の改善に取り組む企業を認定・顕彰するものです。従業員の食に関する知識・意識の向上、体験型の活動などを通じて、企業内の活力向上や優良な取り組みの横展開を図ることを目的としています。つまり、従業員の健康保持・増進に資する活動を通じて、働く人の健康=企業の力として捉える健康経営を後押しする役割も担っているのです。
食育実践優良法人顕彰制度の狙い
本制度の狙いは大きく3つに集約されます。
1つ目は、働く世代に対して「食」の重要性を再認識してもらうことです。外食や中食が中心となる中で、食生活が偏りがちな現代人に、企業という生活基盤に近い場を通じてアプローチすることで、より実効性の高い食育が可能になります。
2つ目は、企業文化として「健康・食への配慮」が根づいた職場づくりを促すこと。従業員の健康を自己責任とせず、組織全体で支援することが、人的資本経営においても不可欠な観点とされています。
そして3つ目は、食育が、子どもだけではなく大人こそ必要であるというイメージを訴求することで、「大人の食育」の 気運醸成が期待できることにあります。これにより、従業員の健康増進のみならず、持続可能な食文化や地域経済の発展にも寄与することができ、企業価値の向上に結び付けることが可能になります。
認定メリットとは
この制度に認定されることで得られるメリットは、単なる表彰にとどまりません。
まず、企業ブランディングとしての価値が高まります。健康経営銘柄やホワイト500といった他の認証制度とも親和性が高く、採用活動や投資家向けPRの一環としても有効です。
また、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。「自分の会社が健康を大切にしてくれている」と実感できることで、仕事へのモチベーションや会社への信頼感にも好影響が生まれるでしょう。
さらに、社内施策の見直しや体系化のきっかけとしても活用しやすいという利点があります。認定にあたっては明確な評価基準が設けられているため、従来の取組を見直し、改善の糸口を得ることができます。
健康経営と食育実践優良法人顕彰との連携
食育の取り組みは、健康経営の中核を担う重要な要素といえます。プレゼンティーズムや生活習慣病リスクの予防といった観点からも、「食」の習慣が持つ影響力は大きく、特に一次予防の観点では、企業としての戦略的な価値が非常に高まっています。
また、すでに健康経営銘柄やホワイト500の認定を受けている企業にとっては、この顕彰制度が次なるネクストステップへ向けて有意義になることも少なくありません。健康経営を実践してきた企業が「次に取り組むべき領域」として、より生活に密着した“食”をどう捉えるかが、今後のテーマとなるでしょう。
認定要件と申請スケジュール
食生活の改善の取り組み(食環境の整備・食リテラシーの向上・体験活動)
認定を受けるには、企業内での「食」に関する3つの観点において、具体的かつ継続的な取り組みを行っていることが求められます。
たとえば、以下のような取り組みが評価対象になります。
食環境の整備
(例:社員食堂に、ヘルシーなメニューや旬・食文化を意識した献立を導入、栄養バランスのとれた朝食レシピの提供)食リテラシーの向上
(例:アプリ等を利用した食事量や栄養摂取量の把握、保健師・管理栄養士との相談機会提供)体験活動
(例:野菜収穫体験や親子向けの料理教室などの「食に関するレクリエーション」の実施、旬の食材や地産地消につながる農畜水産物の購入機会の提供)
これらは、すべて「従業員の自律的な健康行動を支援するための仕掛け」として重要な役割を果たしています。
5つの条件
具体的な評価項目として、以下の5項目が設定されています。
企業全体に取組が波及することを目指した取り組みであること
経営層の理解を得ており、企業理念や行動指針などで取り組みが明確化されていること
取り組み実績があり、継続的に取り組んでいること
取り組みの実施内容、導入手順、運用方法などの公表が可能であること
暴力団員等との関係がないこと
当該年度の健康経営優良法人認定制度に申請している法人のうち、 従業員に対し、「食生活の改善」に資する取り組みを実施していることが前提となります。
令和7年度の申請スケジュール
令和7年度のスケジュール(2025年度)は以下のように予定されています。
申請期間:2025年8月18日~10月31日
認定・公表:2026年春頃
応募には事前の準備が欠かせません。自社の食育施策を見える化し、申請に向けた体制整備を進めておくことが重要です。
食育施策の具体例:3選
1.職場内外での健康メニュー提供や食堂整備
企業における食環境の整備は、従業員の健康的な選択を後押しする第一歩です。たとえば、社員食堂ではカロリーや栄養バランスに配慮したメニューを提供し、視覚的にわかりやすい表示をすることで、自然と健康的な選択ができるようになります。最近では「ヘルシーランチの日」や「減塩メニュー推進日」といったテーマを設け、健康への関心を高める施策も広がっています。
また、食堂を持たない中小企業においても、近隣の飲食店と提携して健康メニューを提供したり、オフィス内に設置された冷蔵ショーケースで栄養バランスの取れた弁当を販売するなど、工夫次第で多様な取り組みが可能です。
2.栄養相談・アプリ活用などリテラシー向上施策
従業員一人ひとりが「自分ごと」として食生活を考えるよう促すには、双方向のアプローチが有効です。たとえば、管理栄養士による定期的な相談会や、食事記録アプリの活用によって、自分の食生活を可視化し、改善点に気づく機会を創出できます。
特に最近では、AIを活用した食事写真の自動解析ツールなども登場し、手軽に食事管理ができる仕組みが注目されています。このようなデジタルツールの導入により、無理なくリテラシーを高めることが可能になります。
3.朝食提供プログラム・体験イベント・地場産食活用
生活習慣の乱れや朝食欠食率の高さは、若年層を中心に深刻な課題となっています。こうした背景を踏まえ、企業の中には「無料朝食提供プログラム」や「朝ごはんチャレンジ週間」などを導入する例もあります。朝のリズムを整えることは、日中の集中力や生産性にも良い影響を与えるため、食育の観点からも有効なアプローチとなります。
さらに、地元の農産物を取り入れたランチイベントや収穫体験などの活動も、地域連携やSDGsの観点から注目されています。単なる健康管理にとどまらず、「食」にまつわる文化や体験を重視する姿勢が、より豊かな食育の実現に寄与します。
WellWaを活用した「食育×ウェルビーイング」戦略
チャレ活・日常ミッションによる自発的な食行動促進
WellWaのプラットフォームでは、「食べる」という日常的な行為を、意識的な健康行動へと昇華させる仕掛けが組み込まれています。たとえば「野菜を毎日100g以上食べよう」といったシンプルなミッションをチーム単位で行い、成果を記録・可視化することで、食への意識が高まります。誰かに強制されるのではなく、自分から取り組みたくなる仕組みが、行動変容を後押しします。
WellStore/WellStockで「嬉しい・おいしい」環境の可視化
さらにWellWaでは、健康的な食行動が「ご褒美」につながる仕組みとして、ポイント制度とEC連携機能を備えています。こうした設計により、「食べることが楽しみになる環境」が確保され、食育とウェルビーイングが一体となった文化が職場に根づいていきます。
まとめ|食育を起点とした次世代の健康経営へ
食育は子どもを対象にした知識教育という側面に加え、社会人の健康意識を高め、行動や文化を変えていく使命も担っています。特に企業にとっては、健康経営や人的資本経営の実現において「食からのアプローチ」がこれまで以上に重要となるでしょう。
食育実践優良法人顕彰制度を一つのきっかけに、働く人々の健康を「個人の責任」にとどめず、「組織として支える文化」として育てていくことが、これからの企業に求められる視点です。WellWaのような支援プラットフォームを活用すれば、無理なく・楽しく・継続的にその仕組みを職場に展開していくことが可能です。次世代の健康経営に向けて、まずは食から職場を見直してみてはいかがでしょうか。


