
福利厚生の見直し方ガイド|社員満足度を高める最新制度とは?
少子高齢化や多様な働き方の広がりにより、企業の福利厚生制度は今まさに転換期を迎えています。従来の“一律型”から、社員一人ひとりのライフステージや価値観に合わせた「個別最適型」への見直しが、採用力・定着率・健康経営の成果を左右する時代です。本記事では、最新の福利厚生トレンドや健康支援型制度の導入事例、社員満足度を高める設計ポイントまでをわかりやすく解説します。
なぜ今、福利厚生の見直しが求められているのか?
少子高齢化・多様な働き方が進む中での福利厚生の再定義
近年、企業における福利厚生のあり方が大きく見直されつつあります。その背景には、少子高齢化の加速や、ライフスタイル・働き方の多様化があります。かつては社員全員が「フルタイム正社員・家庭あり」という前提のもとに制度設計されていた企業も多く、社宅や扶養手当、家族行事に関連した給付制度などが中心に据えられてきました。
しかし現在では、独身世帯の増加、副業・リモートワークの浸透、育児・介護と仕事の両立など、従業員の置かれている状況は千差万別です。その結果、従来の「一律型」福利厚生では、実際のニーズに応えられない場面が目立つようになってきました。企業が真に価値ある制度を提供するには、こうした時代変化を捉え、一人ひとりのライフステージや価値観に寄り添う制度へと再構築していく必要があります。
採用競争力と従業員定着率に影響する満足度の質
福利厚生は、単なる「社内サービス」ではありません。特に中途採用や若手人財の獲得を目指す企業にとっては、企業イメージや魅力づけに直結する「競争力の源泉」としての側面も持ちます。応募者が企業を比較する際、給与や職務内容と並んで福利厚生の内容が注目されるのは珍しくなく、「この会社なら長く働けそう」と感じてもらえるかどうかに大きく影響するのです。
また、既存の従業員にとっても、福利厚生制度の内容や運用が「企業の社員への姿勢」を象徴するものとして受け取られる傾向があり、制度が実生活に役立つかどうかが、離職率やエンゲージメントの水準を左右する重要な要素になってきています。
企業が一方的に提供する特典ではなく、社員と企業の信頼関係を築く接点としての福利厚生。そうした視点からの見直しが、今後ますます求められていくでしょう。
健康経営・人的資本開示と連動する新たな戦略視点
さらに近年注目されているのが、健康経営や人的資本開示との連携です。従業員の健康維持やワークライフバランス向上に資する制度は、企業が社会的責任を果たしていることの証拠として、外部評価や投資家からも関心を集めています。
健康診断受診率、ストレスチェック結果、プレゼンティーズム(出勤しているが本来のパフォーマンスを発揮できない状態)などの指標が、人的資本の開示対象となるなかで、福利厚生は人的投資として定量化・可視化されるべきテーマとして位置付けられつつあるのです。
これまでのように、単に社員の満足度向上を目指すのではなく、健康経営やサステナビリティに関する戦略の一環として制度を設計・運用することが、企業の評価にも直結する時代が到来しています。
福利厚生の実態と課題:JILPT調査から読み解く現状
福利厚生の利用率と社員の評価
労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、多くの企業が何らかの福利厚生制度を整備しているものの、制度の利用率には大きなばらつきがあることが明らかになっています。「慶弔休暇制度」(90.7%)、「慶弔見舞金制度」(86.5%)、「病気休職制度」(62.1%)といった基本的な制度の導入率は高い一方で、特に健康・余暇支援・子育て支援などの分野では、制度自体の認知度が低かったり、利用しづらさが存在したりといった課題が残っています。
また、従業員側の評価を見ると、「満足している」とする声は一定数ある一方で、「制度があることは知っているが使ったことがない」「自分のライフスタイルに合っていない」といった期待と実態のギャップが浮き彫りになっている点も見逃せません。
出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」
福利厚生の利用における「ミスマッチ」の課題
このミスマッチは、企業の側が「従業員が求めているだろう」と予測して設計した制度と、従業員が実際に「助かる」「使いたい」と感じる制度との間に、価値観や優先順位のずれがあることが原因とされています。
結婚・出産・住宅関連に偏った制度が整っている一方で、単身世帯やLGBTQ+の従業員に配慮した支援はまだ少数にとどまっている現状があります。また、制度が形だけ整っていても、「取得しづらい雰囲気」や「申請手続きが面倒」といった運用面での壁が、実質的な利用を妨げているケースも少なくありません。
このようなギャップを埋めるには、定期的なニーズ調査やヒアリングを通じて、制度設計の柔軟性を高めていく視点が不可欠です。
満足度が高い制度と形骸化している制度の違いとは?
調査結果を見ると、満足度の高い福利厚生にはいくつかの共通点があります。それは、制度が「生活実感に即していること」「使いやすく設計されていること」「企業の姿勢が伝わること」です。
育児や介護と両立しやすい働き方を支える制度、リモートワーク補助やカウンセリング支援などは、実際に利用者の声を反映しながら磨かれてきたものです。
一方、形骸化している制度の多くは、制度そのものが時代遅れになっていたり、導入当初の目的が共有されなくなっていたりします。「あるけれど使われていない制度」は、従業員にとっては存在しないのと同じであり、見直しの優先対象となります。
制度そのものの内容だけでなく、運用方法、伝え方、社内での使われ方まで含めて点検し、アップデートしていく姿勢が求められるのです。
見直しの鍵は「選択肢の多様化」と「個別最適化」
ライフステージ別の制度設計
独身でキャリア形成に集中したい20代、子育てや教育費に向き合う30〜40代、親の介護に直面する50代以降。ライフステージごとに直面する健康・生活課題はまったく異なります。
独身層には運動・睡眠など自己管理型の施策が有効ですが、育児中の社員には時間や場所に柔軟な支援が求められます。また、介護と両立する世代には、メンタルケアや相談窓口の存在が大きな支えとなります。こうした前提に立ち、制度設計も「年齢」「家族構成」「ライフイベント」に応じて層別化されるべき時代です。
「一律支給型」から「ポイント型・利用選択型」へ
従来型の「全員に同じ福利厚生を提供する」アプローチでは、多様な従業員ニーズに応えきれません。そこで近年注目されているのが「ポイント型」や「選択型福利厚生」の導入です。
健康関連のプログラムに参加したり、歩数や睡眠時間を記録したりといった行動に応じてポイントが付与され、それを自分に合った商品やサービスと交換できる仕組みです。このような制度は、従業員が自ら意味ある行動を選び取る自律性を生み、参加率や継続率の向上にもつながります。
社員満足度・エンゲージメントを高める制度設計
社員ニーズを把握するアンケート・データ活用術
福利厚生の見直しにおいて最初に取り組むべきは、従業員が本当に望んでいることを把握することです。制度がどれだけ立派でも、使いたいと思われなければ意味がありません。そこで重要になるのが、社内アンケートやサーベイといった定期的な意識調査です。
従業員のライフステージ、勤務形態、家庭状況などによって、必要とされる制度は大きく異なります。独身の若手社員が求める支援と、子育て中の中堅社員が必要とするサポートではニーズがまったく異なるのが当然です。こうした多様な視点を拾い上げるには、数値だけではなく自由記述も含めて、声を丁寧に拾い、制度設計に反映していく姿勢が求められます。
「使いやすさ」と「共感性」が鍵を握る
制度が使われるかどうかを左右するのは、内容そのもの以上に、体験としての使いやすさです。制度の詳細が分かりにくかったり、申請手続きが煩雑であったりすれば、たとえ魅力的な支援があっても活用されることはありません。
さらに最近では、制度に対する「共感性」も大きな要素となっています。企業がどんな意図で制度を提供しているのか、どんな価値観に基づいて設計されたのかが伝わることで、社員は単なる「支給」ではなく「応援」として受け取ることができるようになります。
一例を挙げると、「多様なライフスタイルを尊重するための支援です」といった説明があるだけで、制度そのものへの信頼感が高まり、「使ってもいい」「自分も対象だ」と感じやすくなります。制度の周知や運用設計において、こうした心理的バリアへの配慮は欠かせません。
健康・メンタルケア・人間関係支援の制度が支持される理由
JILPTの調査でも明らかになっているように、満足度の高い福利厚生の傾向として「健康」「メンタル」「コミュニケーション支援」の3分野が挙げられます。これは、企業の支援が実際の生活や働き方に直結しやすい分野であることを示しており、働く人々にとっての“安心感の基盤”として機能していることを意味します。
特に、メンタル不調への予防的アプローチや、孤立を防ぐ組織的なつながりの仕掛けは、従業員エンゲージメントや離職防止において極めて大きな効果を持ちます。
WellWaが実現する「健康支援型福利厚生」の新潮流
健康行動に報酬(ポイント)を与えるインセンティブ設計
従業員の健康増進を図るうえで、WellWa(ウェルワ)のように日々の健康行動をポイントとして可視化・報酬化する仕組みは非常に効果的です。ウォーキングや食事、深呼吸などの行動がポイントに変換され、一定の基準を達成すると、社内ストアや商品と交換できるというサイクルが、行動変容の第一歩を後押しします。
単に健康のためにやるのではなく、ちょっと嬉しいことがあるという感覚が加わることで、参加のハードルが大きく下がり、結果として習慣の定着につながります。
チャレ活・健康選手権で仲間とのつながりを創出
WellWaの特徴的な機能の一つが、部署間・チーム間で楽しみながら取り組める「チャレ活」や「健康選手権」です。個人の行動にとどまらず、他部署との連携やライバル関係が自然に生まれることで、健康行動が一人の努力ではなくチームの文化として根づいていきます。
また、管理職や役員が巻き込まれることで、全社的な雰囲気づくりや価値共有にもつながり、「自分たちの職場は、ちゃんと健康に関心を持ってくれている」と感じられる環境が生まれます。
家族巻き込み・データ可視化・WellStoreで制度価値を最大化
今後、WellWaでは家族の参加を支援する機能がさらに強化されていく予定です。従業員の家庭環境やプライベートが健康行動に密接に関わる以上、職場だけでなく家庭も一緒に健康になるという視点は今後ますます重要になります。
また、日々の行動や参加状況をリアルタイムで可視化できるダッシュボードやレポート機能、そして貯まったポイントを活用できるWellStoreなど、制度としての運用負担を軽減しつつ、満足度を最大化する仕組みが整備されている点もWellWaの強みです。
制度設計・見直しの進め方とチェックポイント
既存制度の棚卸しと満足度の分析
制度見直しの第一歩は、自社の現状を正しく把握することにあります。既存制度の利用率、申請件数、対象者の属性などを可視化することで、形式だけの制度と実際に支持されている制度の差が明確になります。
あわせて、社員アンケートやヒアリングを通じて、制度の改善ニーズや利用のしにくさに対する声を収集し、定量・定性的な分析を組み合わせていくと、施策の優先順位が見えてきます。
対象別の制度強化と段階的な導入設計
福利厚生の制度は、全員に平等に届ける必要はありません。むしろ、独身・子育て中・介護中・管理職など、ライフステージや職務によって異なる制度を用意することで、より個別最適化された支援が実現します。
一気にすべてを切り替えるのではなく、特定のグループに向けた施策を先行導入し、成果を確認したうえで全体展開するような段階的アプローチも有効です。
コスト対効果の視点と、効果測定の仕組みづくり
福利厚生における最大の誤解は、「コストがかかるだけでリターンが見えにくい」という認識です。実際には、離職率の低下、生産性の向上、メンタル不調の抑制など、定量的に評価できる指標は多く存在します。
制度設計の際は、導入目的とKPIを明確に設定し、定期的に効果をレビューできるようにしておくことが、継続的な制度改善において欠かせません。
まとめ
福利厚生の見直しは、単なる制度の刷新にとどまりません。それは、社員一人ひとりの働く意味や企業への信頼を形づくる企業文化の再構築でもあります。
これからの時代に求められるのは、画一的な支援ではなく、個人の価値観や生活を尊重した柔軟な制度設計です。そして、健康支援型福利厚生として進化を遂げるWellWaのようなツールを活用することで、現場に寄り添いながら成果に結びつく新しい福利厚生の形が実現可能となります。
あなたの会社の制度は、従業員にとって本当に役立っていると言えるでしょうか?その問いを出発点に、福利厚生の未来を見直してみてください。


