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社員エンゲージメントが生産性を変える:人事が押さえるべき実践戦略


目次[非表示]

  1. 1.エンゲージメントと生産性の関係
  2. 2.なぜ今、エンゲージメントが経営課題なのか
  3. 3.エンゲージメントを高めて生産性を上げる実践施策
  4. 4.成果を可視化する:エンゲージメント×生産性の測定方法
  5. 5.エンゲージメント測定と効果分析を支援する「WellWa」
  6. 6.人事として次に取るべきアクション
  7. 7.まとめ


エンゲージメントと生産性の関係

エンゲージメントとは、社員が組織に対して抱く情緒的なつながりや貢献意欲を指します。単なる満足度や働きやすさとは異なり、「この組織のために自ら力を尽くしたい」という主体的な姿勢が伴っていることが特徴です。人事担当者は、エンゲージメントを単なる「好意」や「気分」と捉えず、組織成果に直結する戦略的資産と位置づける必要があります。

エンゲージメントと生産性には明確な相関関係があることが、多くの研究で証明されています。厚生労働省が2019年に発表した「労働経済の分析」によると、エンゲージメントスコアが高い労働者ほど「自分の労働生産性が向上している」と感じている割合が高く、逆にスコアが低いと生産性向上の実感も低いという明確な差が確認されています。


参考リンク:厚生労働省


また、エンゲージメントが高い組織では、欠勤率や事故率の低下、顧客満足度の向上といった副次的効果も確認されています。

ここで重要なのは、「満足度=エンゲージメント」ではないことを理解することです。社員が職場環境や待遇に「満足」しているだけでは、必ずしも高いパフォーマンスにはつながりません。本当に生産性を向上させるのは、「働きがい」や「貢献実感」といった質の高いエンゲージメントなのです。

生産性向上において重要なのは、単に「やる気がある」状態をつくることではなく、「組織と個人の目的が一致し、前向きなエネルギーが発揮される状態」を育てること。この「質」を意識したエンゲージメント施策が、成果につながる鍵となります。



なぜ今、エンゲージメントが経営課題なのか

日本企業において、エンゲージメントは今や単なる人事テーマではなく、経営課題そのものとなっています。背景には、人的資本経営への転換のプレッシャーがあります。労働人口減少、働き方の多様化、グローバル競争の激化、こうした環境変化の中で、社員一人ひとりのパフォーマンス最大化が不可欠になっているのです。

しかし、現状を見ると課題は深刻です。Gallup社の『State of the Global Workplace』によると、日本のエンゲージメント率はわずか6%程度と、世界最低レベルに位置しています。


出典:Gallup社『State of the Global Workplace』in2024


この低エンゲージメントが引き起こしているのが、いわゆる「静かな離職(Quiet Quitting)」現象です。表面上は在籍していても、積極的な貢献を放棄し、パフォーマンスが低下している社員が増えている状況が見られます。

働きがいと心理的安全性が生産性に与える影響も無視できません。社員が安心して意見を言え、自分らしく働ける環境が整っている組織ほど、イノベーションが生まれやすく、結果的に生産性も向上することが、数々の研究で明らかになっています。エンゲージメント施策は、単なる"離職防止策"ではなく、"組織の競争力強化策"として捉える必要があるのです。



エンゲージメントを高めて生産性を上げる実践施策

成功事例に学ぶと、エンゲージメント向上施策は必ずしも大がかりな改革を要するわけではありません。ある企業では、週1回の「ありがとう」を伝え合うキャンペーンを導入しただけで、チーム間の信頼関係が大きく改善し、プロジェクト完遂率が向上した例があります。また、別の企業では、マネージャー向けの1on1ミーティング研修を実施した結果、半年後には部下のエンゲージメントスコアが改善した事例も報告されています。

今日から始められる施策として、以下のような取り組みがあります。


  • 定期的な1on1ミーティング
  • 社内感謝文化の醸成
  • キャリア支援面談の導入
  • 部門横断型ワーキンググループの設置


いずれも低コストで着手可能であり、現場主導で進めやすい施策となっています。

ミドルマネジメント層の巻き込みも重要なポイントです。単なる施策の「実施者」に留めるのではなく、エンゲージメント向上の「推進者」として育成していく視点が求められます。マネージャー向けに「心理的安全性の高め方」「キャリア面談スキル」などを体系的に学べるプログラムを提供すると効果的でしょう。

また、社員アンケートを実施した後は、結果を放置せず、必ず改善アクションにつなげることが重要です。社員に「声を上げても無駄だった」という失望感を与えないよう、フィードバックを受けたら小さくてもすぐにアクションを起こし、そのプロセスを可視化して共有することが、エンゲージメント向上への信頼を築きます。



成果を可視化する:エンゲージメント×生産性の測定方法

エンゲージメント向上施策の効果をきちんと可視化するためには、測定すべきKPIを戦略的に設計することが欠かせません。基本となるのは、以下のような指標です。


人的資本指標

  • エンゲージメントスコア
  • 離職率、定着率
  • 内部推奨率(eNPS)


生産性指標

  • 売上高人件費率
  • 労働生産性
  • プロジェクト完遂率


これらを組み合わせて追うことで、「社員のやる気」と「業績へのインパクト」を一貫して説明できるようになります。

サーベイ・ツールを選ぶ際には、単なる満足度調査ではなく、「推奨意欲」「組織貢献意識」「心理的安全性」といったエンゲージメントの質を測定できる設計になっているかを重視しましょう。また、年1回の大規模サーベイだけでなく、月1回などで「脈拍」を測るパルスサーベイも併用すると、変化の兆しを素早く捉えることができます。

データ分析では、単なるスコア比較だけでなく、「どの層で」「どの領域で」改善が起きているか、または課題が深刻化しているかを立体的に見ることが重要です。部署別、属性別、時間軸別でデータを切り出し、仮説検証を繰り返すことで、次の一手をより精緻に設計できるようになります。

厚生労働省の労働経済の分析によると、ワークエンゲージメント1単位の向上で、労働生産性が1〜2%程度向上する可能性が示唆されています。このような公的データを活用することで、施策の効果をより説得力のある形で示すことが可能です。


出典:令和元年度「労働経済の分析」より



エンゲージメント測定と効果分析を支援する「WellWa」


こうしたエンゲージメントと生産性の関係を効率的に可視化したいなら、キリンビバレッジが提供するアプリ「WellWa」の活用が有効です。WellWaは、わずか25問でエンゲージメント、心理的安全性、健康行動、メンタル項目等を総合的に測定でき、さらに業界平均との比較、経年推移分析まで標準搭載しています。

特に優れているのが、サーベイ結果をもとに業界比較・経年比較を行い課題を特定してくれる点です。「どこを改善すれば生産性向上につながるか」を即座に示唆してくれるため、人事施策のPDCAをスピーディに回せます。

  Wellwaとは|WellWa(ウェルワ) WellWa(ウェルワ)のサービスについて紹介。WellWaは、自分一人ではなく、みんなで輪になって健康を目指すための新たな仕組みです。「たのしい健康」と「おいしい健康」で、ウェルビーイングの輪を広げていきます。 WellWa(ウェルワ)



人事として次に取るべきアクション

エンゲージメント向上施策を社内に浸透させるためには、単なる施策実施ではなく、巻き込み設計が不可欠です。まずは経営層に対して、人的資本開示や事業成果との関連性をロジカルに説明し、コミットメントを引き出すこと。次に、マネジメント層に向けた役割定義と支援策(例:1on1研修、フィードバックトレーニング)を用意し、現場浸透を図りましょう。

経営層を動かすには、「投資対効果(ROI)」を明示するロジックが不可欠です。例えば、エンゲージメント10%向上で離職率が●%改善し、採用・教育コストが年間▲万円削減される……といった具体的な数値モデルを提示することで、投資判断を引き出しやすくなります。ここでも、測定データと実績をベースにした説得力が鍵となります。



まとめ

社員エンゲージメントは、単なる「気持ちの問題」ではなく、企業の生産性と成長力を左右する本質的な経営資産です。エンゲージメント向上施策を成功させるためには、科学的な測定とデータドリブンな戦略設計、そして現場と経営層を巻き込む力が不可欠です。

まずは、小さな一歩を踏み出すことから始めましょう。現場から着実にエンゲージメントを高め、組織全体のパフォーマンス向上へとつなげていくーーその地道な取り組みこそが、持続的な成果を生み出す道なのです。


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