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従業員エンゲージメントの種類とは?タイプ別に分かる特徴と改善策マップ


目次[非表示]

  1. 1.エンゲージメントの主な種類と特徴
  2. 2.従業員エンゲージメントの分類と理解
  3. 3.エンゲージメント低下の兆候と原因を知る
  4. 4.人事が押さえるべき、エンゲージメント施策の設計と実行
  5. 5.タイプ別・課題別に見る有効な施策と打ち手
  6. 6.まとめ|エンゲージメントの種類を活かし、自社に合ったアプローチを


エンゲージメントの主な種類と特徴

エンゲージメントという言葉は、近年ビジネス領域で幅広く使われています。しかし、一言でエンゲージメントと言っても、対象や文脈によって指すものが異なります。まずは代表的な三つの種類を整理しましょう。

最もよく知られているのが、「従業員エンゲージメント(Employee Engagement)」です。これは、社員が組織に対して抱く情緒的なつながりや貢献意欲を指します。働く意味や目的を感じ、自ら積極的に組織目標に向かって行動する状態を表しています。

一方、「顧客エンゲージメント(Customer Engagement)」は、企業と顧客との間に築かれる関係性を表します。単なる購入・利用だけでなく、ブランドへの愛着や推奨行動(リピート購入、SNSでの拡散など)を促すことが主な目的となります。

さらに、ユーザーエンゲージメントブランドエンゲージメントと呼ばれる領域もあります。アプリやWebサービス利用者のアクティブ率、ファンとしての支持の強さなど、サービスとユーザーの関係性に焦点を当てた概念といえるでしょう。

それぞれ目的も活用シーンも異なるため、自社が注力すべきエンゲージメント領域を明確にし、適切な施策設計を行うことが成功への鍵となります。



従業員エンゲージメントの分類と理解

従業員エンゲージメントをより深く理解するためには、細かい分類視点を持つことが有効です。代表的なのが、情緒的・合理的・行動的という三つの視点による分類法です。


情緒的エンゲージメント​​​​​​​

会社やチームに対する愛着や誇り、仲間意識といった感情的なつながりを指します。「この仲間と働きたい」「この会社に貢献したい」という気持ちが、情緒的な結びつきを形成しています。


合理的エンゲージメント

給与や福利厚生、キャリアパスといった合理的な判断に基づく組織への関与を意味します。「この会社にいる方が自分にとって合理的だ」という意識が、合理的エンゲージメントを支えているのです。


行動的エンゲージメント

具体的な行動として表れるエンゲージメントです。積極的な提案、チームへの貢献、自己研鑽など、目に見える行動として現れる形態を指します。


さらに別の分類軸として、ロイヤリティ(忠誠心)、貢献意識(積極的な行動意欲)、自己成長意欲(学び続けたいというモチベーション)といった切り口も有用です。自社の課題に応じて、どの要素を強化すべきかを見極めるために、こうした多角的な視点が重要となります。



エンゲージメント低下の兆候と原因を知る

エンゲージメント低下には典型的な兆候があります。まず、情緒的なつながりが薄れるケースでは、社員が組織への愛着や誇りを感じられなくなり、発言や積極的な行動が減少します。チームイベントへの参加率低下や雑談頻度の減少は、情緒的エンゲージメント低下のサインといえます。

合理的動機が機能していないケースでは、給与や評価に対する不満、キャリアパスの不透明感が社員のエンゲージメント低下を招くことがあります。特に優秀層ほど、自分の成長機会が見えないと離職を考えやすくなる傾向が見られます。

また、行動が伴っていない「静かな離職」の兆候にも注意が必要です。出勤していても意欲的に動かず、最低限の業務だけをこなしている状態が続くと、組織への貢献意識は大きく低下している可能性があります。こうしたサインを早期にキャッチし、適切な対策を講じることが、エンゲージメント維持・向上には欠かせないのです。



人事が押さえるべき、エンゲージメント施策の設計と実行

エンゲージメント向上施策を検討する際、まず悩むのが「どこから手をつけるべきか」という課題です。最初の一歩としては、自社の現状を正確に把握することが不可欠といえるでしょう。サーベイやヒアリングを通じて、エンゲージメントの現状レベル、低下要因、強化すべきポイントを明らかにします。そのうえで、情緒的・合理的・行動的のどの側面にまずアプローチすべきか、優先順位を整理することが効果的です。

また、施策を実行する際には、人事部門単独ではなく、組織横断で巻き込むアプローチが成功への鍵となります。経営層、マネジメント層、現場社員、それぞれを巻き込みながら、共通認識を持って取り組むことで、施策が形骸化するリスクを防ぐことができます。

成功している企業に共通するパターンは「小さく始めて成果を可視化し、着実に横展開する」スタイルです。いきなり全社一斉導入ではなく、パイロット部門で施策を試行し、成功事例を作ってから全社展開する。この地道な積み重ねが、組織文化に根づく変革を実現するのです。



タイプ別・課題別に見る有効な施策と打ち手

エンゲージメントタイプ別に有効な施策を考えると、それぞれのタイプに対応したアプローチが必要になります。


情緒的エンゲージメント向上には、チームビルディング活動、社内コミュニケーション活性化施策、パーパス共有ワークショップなどが効果的です。組織の一員としての誇りや帰属意識を高める取り組みが、情緒的なつながりを強化します。


合理的エンゲージメント向上には、キャリアパスの明確化、適切な評価制度、スキルアップ支援施策が有効です。特に、自社で働く合理的なメリットを明確に示し、成長実感を得られる環境整備が重要といえます。 行動的エンゲージメント向上には、チャレンジ機会の提供、表彰制度、ピアボーナスなど、積極的な行動を後押しする仕組みづくりが求められます。「行動が認められ、評価される」という実感が、さらなる行動を促進するのです。


離職防止やモチベーション向上を狙う具体策としては、定期的な1on1ミーティング、メンター制度、キャリア面談、ライフステージに合わせた柔軟な働き方支援などが挙げられます。特に、若手層は成長機会に敏感なため、「挑戦できる場」を意図的に設計することが重要です。


心理的安全性を高めるマネジメントも欠かせません。ミスや課題提起を歓迎する文化、上司が率先してオープンにコミュニケーションを取る姿勢が、心理的安全性を育みます。「話しても大丈夫」という空気感づくりが、エンゲージメント向上に直結するのです。

また、世代別にアプローチを工夫する視点も大切です。若手には成長機会とフィードバック、ミドル層にはキャリア自立支援と役割再定義、ベテラン層には経験活用の場や後進育成機会の提供が、それぞれエンゲージメントを高める有効な打ち手となります。



まとめ|エンゲージメントの種類を活かし、自社に合ったアプローチを

エンゲージメント施策を成功させるには、まず「種類の理解」から始めることが重要です。情緒的・合理的・行動的、あるいはロイヤリティ・貢献意識・自己成長意欲など、様々な種類の中から、自社の現状を整理し、「状況診断」を行ったうえで、ターゲットを絞った「打ち手選定」をしていく。この流れを意識することで、施策の精度と効果は飛躍的に高まります。

エンゲージメントは一朝一夕に高まるものではありません。しかし、正しい理解と地道な取り組みを続ければ、確実に組織力向上へとつながっていきます。まずは、自社のエンゲージメントの現状を理解し、小さな一歩から始めてみましょう。


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