
エンゲージメント向上につながる“ウェルビーイング施策”の始め方と成功のポイント
注目が高まるウェルビーイングとエンゲージメントの関係性や、低コストで始められる実践的な施策、効果測定と改善のポイントをわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.ウェルビーイングとエンゲージメントとは?注目される背景と基本知識
- 2.なぜ施策がうまくいかない?人事が直面する課題とその原因
- 3.中小企業・リモート環境でも導入できる3つのウェルビーイング施策
- 3.1.1.低コストで始められるアイデア(例:1on1、マイクロブレイク)
- 3.2.2.リモートワーク環境での孤立を防ぐ“つながり”支援施策
- 3.3.3.メンタルヘルス支援の仕組み化と外部リソースの活用
- 4.PDCAで成果を創出!ウェルビーイング施策の効果測定と改善方法
- 5.経営層の巻き込み方:人的資本経営とウェルビーイングの統合戦略
- 6.未来のウェルビーイング施策:HRトレンドとテクノロジーの活用
- 6.1.2025年以降のHRトレンド:ウェルビーイングが企業経営の主要指標へ
- 6.2.HRテック・AI・BIツールで実現するデータドリブンな施策運用
- 6.3.KIRINの「WellWa」が可能にする健康可視化アプリ
- 7.まとめ
ウェルビーイングとエンゲージメントとは?注目される背景と基本知識
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングは、「肉体的、精神的、社会的に良好な状態」と定義しており、単なる「病気でないこと」以上の健康・幸福感を意味します。世界保健機関(WHO)も、ウェルビーイングを現代の健康の重要な要素と位置づけており、企業活動においても、社員の心身の健康と社会的なつながりを総合的に支援する施策の重要性が高まっています。
エンゲージメントとは?HR視点での定義と測定指標
エンゲージメントとは、社員の仕事に対する熱意、組織へのコミットメントを指します。エンゲージメントは単なる「満足度」ではありません。「主体的な貢献意欲」を伴っているかが重要なポイントです。HR領域*では、エンゲージメントスコアや離職率、従業員のエンゲージメントを可視化する指標(eNPS)などが活用されています。
※企業の一部署としての「HR」「人事部」が行う「HR業務」と、それに関連するサービスを提供する「HRソリューション」の両方を含む領域を指します。
両者の関係性と相乗効果を示す最新データと研究
近年の研究では、ウェルビーイングとエンゲージメントの間に強い相関関係があることが明らかになっています。たとえば、ギャラップ社の調査では、ウェルビーイングが高い社員はエンゲージメントも高く、生産性や定着率が向上する傾向が見られました。ウェルビーイング施策は単なる福利厚生にとどまらず、エンゲージメント向上の本質的なドライバーであると言えます。
なぜ施策がうまくいかない?人事が直面する課題とその原因
エンゲージメントが低い職場に共通する兆候
エンゲージメントが低い職場は、指示待ちの姿勢が目立ち、チーム間の連携が希薄で、離職希望者が増加する傾向があります。また、アイデア提案も少なく、組織の活力が低下します。エンゲージメントの低下と考えがちですが、職場環境や個人のウェルビーイングが損なわれていないかも確認が必要です。
ウェルビーイング施策が効果を発揮しない理由とは?
ありがちな失敗として、「形式的な施策の導入」が考えられます。トップダウンで決めた施策が現場のニーズとかみ合わず、単発イベントで終わると、エンゲージメント向上に結びつきません。社員一人ひとりが主体的に関与できる施策設計が不可欠です。
よくある誤解「福利厚生=ウェルビーイング」ではない
「福利厚生を充実させればウェルビーイングにつながる」という誤解も見受けられます。ジム補助やカフェテリアプランはあくまで施策の一部に過ぎません。ウェルビーイングの推進には、働き方の柔軟性やキャリア支援、人間関係の質向上など、より広い視点が必要です。
中小企業・リモート環境でも導入できる3つのウェルビーイング施策
1.低コストで始められるアイデア(例:1on1、マイクロブレイク)
低コストで始められる施策としては、月1回の1on1ミーティングを定例化し、上司と部下が直接対話する機会を設けること、1日5分のストレッチや小休憩の制度化などが挙げられます。マイクロブレイク推進は、気軽に始められるアプローチのひとつです。コストをかけずに、職場環境に一定の変化をもたらすことは可能です。
2.リモートワーク環境での孤立を防ぐ“つながり”支援施策
リモートワーク環境では、雑談タイムやバーチャルランチ会といった「偶発的な会話」を意図的に創出する工夫が必要です。気軽な接点を持つことで、チームの一体感を維持しやすくなります。
3.メンタルヘルス支援の仕組み化と外部リソースの活用
オンラインカウンセリングの導入や、EAP(従業員支援プログラム)の提携により、メンタルヘルス支援を、日常的な仕組みとして組み込むことが可能です。
PDCAで成果を創出!ウェルビーイング施策の効果測定と改善方法
エンゲージメントやウェルビーイングをどう測るか?
施策を継続的に改善していくためには、定期的な効果測定が欠かせません。エンゲージメントサーベイやウェルビーイングサーベイを活用して、社員の主観的な満足度だけでなく、業務パフォーマンス指標もあわせてモニタリングしていきます。
定量・定性データの活用方法
定量データとしては、エンゲージメントスコアや離職率、欠勤率などを測定し、定性データとしては、社員アンケートの自由記述や1on1面談のフィードバックを活用します。こうした多角的なデータ分析によって、定量指標では捉えにくい初期変化も把握することができます。
PDCAを機能させるための評価指標とKPI設計
PDCAを機能させるためには、「施策を実施したか」ではなく、社員の行動変容や意識変化に着目したKPI設計が求められます。たとえば、歩数アップ率や健康イベントの参加率、ポジティブな自由記述の割合などを指標に設定し、変化を可視化しながら改善サイクルを回していきましょう。
経営層の巻き込み方:人的資本経営とウェルビーイングの統合戦略
経営戦略としてのウェルビーイング:人的資本開示との関係
ウェルビーイング施策を単なる人事施策に留めず、経営戦略の一環として位置づけることが、これからの企業経営には欠かせません。とくに、人的資本開示が義務化される流れの中で、ウェルビーイングは社員の幸福度という定性的な要素だけでなく、生産性や定着率、創造性といった企業価値に直結する指標として、強い注目を集めています。
CFOや経営陣を説得するためのロジックと資料例
経営層を説得するためには、「人的資本経営=未来への投資」であることを明確に提示することが、理解と納得を得るうえで有効です。エンゲージメントスコアと業績指標の相関データを提示し、加えて離職コスト試算(たとえば1人あたり数百万円規模の損失)を具体的に示すことで、ウェルビーイング施策が単なる福利厚生ではないことを、論理的に訴求することができます。
人事と経営が協働すべき「共通KPI」とは?
人事だけが孤軍奮闘するのではなく、経営指標と連動させることも不可欠です。たとえば、エンゲージメントスコアや離職率(特にハイパフォーマー層)、プレゼンティーズム改善率などを「共通KPI」として設定し、経営と人事が一緒にモニタリングする体制を構築することが、組織全体のコミットメントの改善につながります。
未来のウェルビーイング施策:HRトレンドとテクノロジーの活用
2025年以降のHRトレンド:ウェルビーイングが企業経営の主要指標へ
2025年以降、ウェルビーイングは人事テーマを超え、企業経営の「主要指標」として扱われる時代に移行するとみられています。「社員が幸せであるか」「働きがいを感じているか」といった項目は、持続可能な経営、イノベーション創出、ブランド力向上に直結する経営課題となり、投資家や外部ステークホルダーからも厳しくチェックされるようになるでしょう。
HRテック・AI・BIツールで実現するデータドリブンな施策運用
こうした流れを受け、今後はHRテック・AI・BIツールを活用したデータドリブンな施策運用が主流になっていきます。リアルタイム感情モニタリングができるサーベイツール、離職予兆を検知できるAI、部門別に分析できるBIダッシュボードなど、属人的判断に依存しないマネジメントが求められるようになります。
KIRINの「WellWa」が可能にする健康可視化アプリ
キリンビバレッジが提供する「WellWa」では、健康行動データとサーベイ結果を可視化し、個人単位・チーム単位での比較分析が可能です。健康状態とエンゲージメントスコアの相関も把握でき、経営層の理解を得るための資料作成もワンストップで行うことができます。
まとめ
エンゲージメント向上に直結するウェルビーイング施策は、これからの企業経営において重要な「戦略的テーマ」となっていきます。まずは小さな一歩を踏み出しましょう。大切なのは、施策をデータで可視化し、現場と経営を巻き込みながら、持続的に改善サイクルを回していくことです。