
従業員が思う、良い福利厚生の基準とは?企業が目指すべき理想の福利厚生制度
企業が導入すべき福利厚生は、経営層や人事部門が良いと考えるものだけではなく、従業員が実際に「ありがたい」「使いたい」と感じる内容であることが重要です。本記事では、従業員視点での評価基準と、企業が効果的な制度を構築するためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.福利厚生の役割と重要性
- 2.従業員が評価する「良い福利厚生」の基準
- 2.1.生活の安定性をサポートする制度
- 2.2.ワークライフバランスを考慮した制度
- 2.3.健康管理をサポートする制度
- 2.4.スキルアップ支援とキャリア支援
- 2.5.選択制福利厚生
- 3.効果的な福利厚生制度を導入するためのポイント
- 3.1.従業員ニーズに合わせた柔軟な制度設計
- 3.2.利用しやすい環境の整備
- 3.3.透明性と公平性の確保
- 4.健康経営を支援する福利厚生の新たな潮流
- 5.まとめ
福利厚生の役割と重要性
福利厚生は単なる「おまけ」ではなく、企業価値の一部として重要な位置を占めています。給与や業務内容と並び、従業員が企業を選ぶ大きな判断材料であり、優秀な人材の確保や離職率の低下に直結します。また、従業員満足度の向上を通じて生産性の向上やエンゲージメント強化にも寄与し、近年は「健康経営」の視点からも企業価値向上の要素として注目されています。
しかし、「良い」福利厚生の基準は従業員の年齢、ライフスタイル、家族構成などによって大きく異なります。企業独自の視点だけでなく、従業員の声を取り入れた制度設計が求められるのです。
従業員が評価する「良い福利厚生」の基準
生活の安定性をサポートする制度
住宅・通勤補助
都市部で働く従業員にとって、住居費や通勤費は大きな負担です。家賃補助や社宅制度、通勤交通費の全額支給は、特に若手社員の生活基盤を支え、働き続ける安心感につながります。
育児・介護支援
少子高齢化社会において、育児や介護に関する支援は切実なニーズです。育児休暇や時短勤務、育児手当の支給、介護休暇や介護費用の補助など、家庭と仕事の両立を支える制度は高く評価されています。女性社員の活躍推進や多様な働き方の実現にも不可欠です。
ワークライフバランスを考慮した制度
フレックスタイム制度
自分の生活スタイルに合わせて始業・終業時間を調整できるフレックスタイム制度は、働きやすさを大きく向上させます。子どもの送り迎えや通院、趣味の時間の確保など、生活にゆとりを持たせることができ、満足度の高い制度の一つです。
リモートワーク制度
感染症対策を契機に広がったリモートワークは、通勤時間の削減や働く場所の自由度を高め、ライフスタイルに柔軟に対応できる働き方を実現します。子育て世代や地方在住者にとっては、リモートワークの有無が企業選びの決め手になることも少なくありません。
充実した休暇制度
休暇制度の整備は、従業員の心身のリフレッシュやワークライフバランスの実現に直結します。有給休暇の取得促進や、連続休暇・リフレッシュ休暇制度が整っていると、働き方にメリハリが生まれ、長期的なパフォーマンス維持にもつながります。
健康管理をサポートする制度
運動促進
従業員の健康維持を目的とした運動施策は、医療費削減だけでなく、企業全体の活力向上にも貢献します。ジムの利用補助や社内でのストレッチ・ヨガ教室、健康アプリと連携したウォーキングイベントなどは、楽しみながら健康促進ができる仕組みとして効果的です。
健康的な食事の提供
食生活の乱れは健康トラブルの原因となりやすいため、企業が食事の質をサポートすることには大きな価値があります。健康志向のメニューを揃えた社員食堂や、オフィス内で手軽に栄養補助食品が摂取できる環境整備は、従業員の健康維持に貢献します。
定期健康診断
定期的な健康診断は従業員の健康を守るために不可欠です。企業が費用を負担することで受診率が向上し、疾病の早期発見・早期対応が可能になります。オプション検査や人間ドックの補助があると、さらに安心感が高まります。
スキルアップ支援とキャリア支援
資格取得支援
スキルアップを目指す従業員にとって、資格取得支援は大きなモチベーションになります。受験料の補助や合格時の報奨金、外部講座の受講費支援などは、自主的な学習を促進します。従業員の成長が組織力の向上に直結するため、企業側にとっても大きなメリットがあります。
キャリア形成サポート
研修制度やキャリアカウンセリング、異動希望を反映する社内転職制度などは、従業員の将来設計を支援します。自身のキャリアに企業が寄り添ってくれるという実感は、エンゲージメントや定着率の向上につながります。
選択制福利厚生
多様な働き方・生き方がある現代において、画一的な福利厚生では十分に対応できない場合があります。カフェテリアプランのようなポイント制で自由にサービスを選べる仕組みは、従業員一人ひとりのライフスタイルに合わせた支援を可能にします。
効果的な福利厚生制度を導入するためのポイント
従業員ニーズに合わせた柔軟な制度設計
従業員の年代やライフステージは多様であり、一律の制度では満足度を高めるのが難しい場合があります。子育て世代には保育費補助や育児休暇の拡充、独身世代にはレジャーやスキルアップ支援など、ライフステージに合わせた選択肢を用意することで、従業員一人ひとりにとって魅力的な制度設計が可能になります。
また、ニーズは時間とともに変化するため、福利厚生制度も継続的な見直しが必要です。定期的なアンケートやヒアリングを通じて従業員の求める支援を把握し、制度の形骸化を防ぐことが重要です。
利用しやすい環境の整備
どれだけ制度が充実していても、利用しにくければ意味がありません。スマートフォンやPCから簡単に申請・利用できるデジタル化の推進は、従業員の利便性を大きく向上させます。制度の周知や手続きフローをオンラインで完結させることで、導入効果を最大化できます。
また、福利厚生の内容が十分に周知されていなければ活用されず、投資に見合った効果が得られません。社内ポータルサイトでの情報集約や、定期的な説明会の開催など、制度の存在と使い方を浸透させる取り組みも重要です。
透明性と公平性の確保
福利厚生制度の不公平感は、職場の不満やモチベーション低下の原因になります。制度の対象条件を明確にし、特定の部署や職種に偏らないように配慮することが求められます。全社員に利用可能なプランを基本とし、その上で個別のニーズに応じた制度を選択できる形式が理想的です。
また、正社員・契約社員・パートタイムなど、雇用形態による福利厚生の格差が大きすぎると不公平感が生じやすくなります。多様な人材が活躍できる環境づくりの一環として、福利厚生制度もできる限り平等に整備することが望ましいでしょう。
健康経営を支援する福利厚生の新たな潮流
近年注目されているのが、従業員の健康促進を目的とした福利厚生サービスです。オフィス内で野菜や果物を使ったスムージーを提供するサービスや、健康的な行動(ウォーキング、食事記録、睡眠改善など)に応じてポイントが貯まるプラットフォームなどが登場しています。
〈キリンビバレッジが提供している福利厚生ソリューションとは〉
こうしたサービスは、従業員の健康意識を高めるだけでなく、日常的な楽しみにもなり、自然と健康行動が促進される点が魅力です。健康経営の一環として導入することで、企業全体の健康文化が醸成されると同時に、医療費削減や生産性向上といった効果も期待できます。
まとめ
福利厚生は、単なる「お得な制度」ではなく、企業の魅力を形作る大きな要素の一つです。
適切な福利厚生制度は、従業員が長く働き続けたいと思える環境を創出し、企業ブランドの向上にもつながります。採用活動の場でも、他社との差別化ポイントとして有効に機能します。
従業員が「良い」と感じる福利厚生は、生活支援、働きやすさ、健康・キャリア支援など多岐にわたります。従業員のニーズを正確に把握し、柔軟かつ公平な制度設計を行うことで、企業としての信頼と魅力を高めていきましょう。