
社員の幸福が業績を変える! ウェルビーイングな職場環境の構築方法と投資対効果の可視化
ウェルビーイングな職場環境を構築するための条件や手順、投資対効果の可視化について解説します。中小企業も実践可能な事例、工夫すべきポイントも掘り下げます。
目次[非表示]
- 1.企業に求められる「ウェルビーイングな職場環境」とは
- 2.目的別・企業規模別にみる4つのウェルビーイング施策例
- 2.1.1.メンタルヘルス・フィジカルケアの取り組み(健康施策、カウンセリングなど)
- 2.2.2.柔軟な働き方と多様性(リモート、時短勤務、フレックスなど)
- 2.3.3.キャリア支援・エンゲージメント施策(1on1、評価制度の見直し)
- 2.4.4.中小企業がすぐに始められるスモールステップ施策
- 3.自社の職場環境を評価・可視化するポイントとは?
- 4.成功に導く導入プロセスと社内巻き込み術
- 5.経営層に提案する際の資料作成とプレゼンのコツ
- 6.健康施策への投資対効果を可視できる「WellWa」とは
- 7.まとめ|ウェルビーイングな職場環境は「全社的な共創」から生まれる
企業に求められる「ウェルビーイングな職場環境」とは
働きやすさを感じる職場の共通点と具体例
ウェルビーイングな職場とは、単に身体的な健康を保障する場ではありません。心身ともに安心でき、個々が成長を実感できる職場環境を意味します。社員から働きやすいと評価される職場には、フラットなコミュニケーションが根付き、働き方に柔軟性があり、キャリア形成を後押しする文化が存在します。また、休憩スペースや照度、室温といった身体的な快適性も大切な要素です。このような環境が整うことで、社員は主体的に行動し、おのずとエンゲージメントが高まっていきます。
心理的安全性・身体的健康・キャリア成長支援の3つの視点で捉える職場設計
職場設計を考えるうえでは、「心理的安全性」「身体的健康」「キャリア成長支援」という3つの視点を網羅的に捉えることが不可欠です。心理的安全性を高めるためには、ミスを責めず意見を歓迎する風土が求められます。身体的健康を守るためには、作業環境の最適化を心掛けることが重要です。そしてキャリア成長支援では、自己成長を促すフィードバック文化を育むことが重視されています。物理的な設備だけでなく、心理的・社会的側面も含めた包括的な職場環境の設計が、ウェルビーイング実現の条件となります。
目的別・企業規模別にみる4つのウェルビーイング施策例
1.メンタルヘルス・フィジカルケアの取り組み(健康施策、カウンセリングなど)
ストレスチェックとその後のフォローアップ面談の実施、オンラインカウンセリング窓口の開設、ウォーキングチャレンジや健康ポイント制度の導入といった取り組みが挙げられます。これらの施策を通じて、社員自身が健康に対する意識を高め、セルフケアの強化につながります。
2.柔軟な働き方と多様性(リモート、時短勤務、フレックスなど)
在宅勤務制度の整備やサテライトオフィスの活用、コアタイムなしのフレックス制度の導入などが主な具体例です。時短勤務者にはキャリアを諦めさせないための支援プログラムを設けることで、多様なライフスタイルを尊重しながら働ける職場文化が定着します。
3.キャリア支援・エンゲージメント施策(1on1、評価制度の見直し)
月1回の上司との1on1ミーティングを制度化したり、成果だけではなくプロセスも考慮する新たな評価制度の設計を進めることが有効です。ボトムアップ策を導入し、現場の意見を正確に把握しておくことも、エンゲージメント向上に寄与します。エンゲージメントや組織への貢献度を高めることが、結果として離職防止にもつながります。
4.中小企業がすぐに始められるスモールステップ施策
週1回程度の定期的なインフォーマルなコミュニケーション機会の創出や1on1面談の実施、健康情報を社内ポータルで発信すること、簡単なエクササイズ動画を社員に共有することなど、企業の規模を問わず実行可能な取り組みに着目してみましょう。現場のニーズに即した“小さな改善”を積み重ねることで、中小企業ならではの機動力を活かしたウェルビーイング推進が可能になります。
自社の職場環境を評価・可視化するポイントとは?
ウェルビーイング指標とKPIの設定方法
職場環境の改善を本格的に進めるには、まず現状を把握し、数値と肌感覚の両面から課題を可視化することが必要です。評価指標としては、健康面ではプレゼンティーズム率やストレスチェックスコア、エンゲージメント面ではエンゲージメントサーベイの結果やeNPS(社員推奨度)、そして離職関連では離職率や定着率などが参考になります。
社内アンケート・ヒアリングで現状を可視化するコツ
社内アンケートやヒアリングを設計する際には、定量的なスコア形式の設問と、自由記述による定性的な意見収集をバランス良く組み合わせることがポイントです。単に満足度を問うだけではなく、「改善に関する要望を掘り下げる設問を設け、現場で活用できる具体的なニーズを把握することが可能です。また、部署別や年齢層別に傾向分析を行うことで、より精緻な課題抽出が可能になります。これらの取り組みを通じて、着実なウェルビーイング推進への第一歩を踏み出しましょう。
成功に導く導入プロセスと社内巻き込み術
ウェルビーイング施策導入のステップと注意点
ウェルビーイング施策を成功させるには、計画的な導入プロセスと、社内の主要ステークホルダーをうまく巻き込むことが不可欠です。最初のステップは、現状把握と課題の棚卸しです。社内サーベイやヒアリングを通じてリアルな課題を掘り起こし、その結果をもとに優先順位をつけながら施策を設計します。スモールスタートでパイロット導入(試験導入)を行い、効果や課題を検証したうえで全社展開へと広げていく段階的アプローチが効果的です。
現場と経営層の納得を得るためのポイント
ウェルビーイング施策を組織に定着させるには、現場と経営層の双方がその価値と必要性を理解し、自らの関与意義を実感している状態をつくることが欠かせません。それぞれの立場に応じた納得感を得るには、以下のような工夫が効果的です。
現場社員の納得を得るには
現場の社員にとって重要なのは、「自分たちの声が反映されている」と感じられることです。そのためには、施策の初期段階から意見収集やパイロット運用に現場のメンバーを巻き込み、試行錯誤のプロセスを共有することが大切です。実際に現場で起こっている課題に即した施策であることを示すとともに、小さな成功体験(例:健康ポイント制度による行動変容)を可視化することで、納得と信頼を育むことができます。
また、「施策が一時的で終わらない」というメッセージを届けることも有効です。定期的なフィードバックの場を設けることで、施策のブラッシュアップに関与できると感じてもらい、受け身ではなく“共創する立場”へと意識を変えていくことが求められます。
経営層の納得を得るには
経営層に対しては、主観的な理念や感情だけでなく、事業成長や財務面への影響という客観的な視点から訴求することが重要です。たとえば、プレゼンティーズムやアブセンティーズムの改善による生産性向上、離職率低下による採用・育成コストの削減など、具体的な数値やロジックを用いて説明することが効果的です。
加えて、人的資本経営やESGの文脈での意義、また健康経営優良法人認定などの外部評価にも言及することで、施策導入の経営的メリットを明確にします。経営層が「リスク回避」だけでなく「未来への投資」としてウェルビーイングを捉えるようなアプローチが鍵となります。
経営層に提案する際の資料作成とプレゼンのコツ
ウェルビーイング施策のROI(費用対効果)を数値で伝えるには?
経営層に施策を提案する際には、感情的な主張ではなく、データとロジックに基づく説明が不可欠です。ウェルビーイング施策の投資対効果(ROI)を示すためには、例えば、プレゼンティーズム改善による生産性向上や、離職率低下による採用コスト削減効果などを、具体的な金額換算を提示することが効果的です。
データと事例で信頼性を高めるアプローチ
さらに、説得力を高めるには、社内データ(例:離職率推移、エンゲージメントスコア)と、外部の信頼できる調査データ(例:健康経営優良法人の業績向上データ)を組み合わせるアプローチが有効です。自社の現状と、取り組まない場合に起こりうるリスクも合わせて提示することで、経営層の理解の解像度を高めることができます。
健康施策への投資対効果を可視できる「WellWa」とは
投資対効果を示すサーベイ・分析モデル
ウェルビーイング施策の効果測定に悩む企業にとって、キリンが提供する「WellWa」は強力なサポートツールとなります。WellWaでは、25問の設問に答えるだけで、健康施策の投資対効果や、業界平均との比較、経年変化まで可視化できるサーベイ機能が標準搭載されています。これにより、施策効果を数値で把握でき、経営層への報告・改善プロセスも円滑に進行します。
豊富な健康イベント、社内巻き込みに特化したプログラム設計
さらに、WellWaは単なる可視化ツールにとどまらず、豊富な健康イベントプログラムも併せて提供しています。たとえば、部署対抗型のウォーキングチャレンジや、社内ランキング機能を活用することで、コミュニケーション活性化やエンゲージメント向上も期待できます。自発的に健康意識を高め、チーム力を育む設計が施されているため、制度倒れを防ぎ、施策の文化定着をサポートしてくれる点も大きな特徴です。
まとめ|ウェルビーイングな職場環境は「全社的な共創」から生まれる
ウェルビーイングな職場環境の実現は、人事部門だけが努力しても達成できるものではありません。制度として導入するだけではなく、「文化」として職場に定着させるためには、経営層、マネジメント層、現場社員が主体的に取り組む姿勢が必要です。そのためにも、まずは段階的な改善を始め、確かなデータを積み上げながら、社内に成功体験を広げていくことが重要です。