
経営層も納得!ウェルビーイングを“数値化”するための指標の作り方とは
ウェルビーイングの種類からモデル事例、自社でのKPI設計ステップまでをわかりやすく解説します。人的資本経営に不可欠な“見える化”の実践ポイントを押さえておきましょう。
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ウェルビーイング指標とは?意味・種類・設計方法まで徹底解説
ウェルビーイングとは、単なる“健康”だけではなく、身体的・精神的・社会的・職業的・経済的な5つの領域が良好な状態にあることを意味します。この広範な概念を組織で実践・改善していくためには、まず“見える化”、つまり数値で把握できる指標を持つことが重要です。
ウェルビーイング指標には、大きく分けて主観的指標と客観的指標があります。主観的指標とは、社員のアンケート回答などによる“自己評価”に基づくデータで、満足度や人生における充足感などを示します。一方、客観的指標は、健康診断結果や労働時間、有休取得率、離職率といった人事データから測定するものです。両者をバランスよく組み合わせることで、より立体的な現状把握が可能になります。
代表的な指標モデルは、以下の3つです。
- ポジティブ心理学に基づく「PERMAモデル」
- ギャラップ社の「ウェルビーイング5要素モデル」
- OECDが推奨する「Better Life Index」
これらのモデルを参考に、自社に合った指標設計を進めていくことが重要です。
成功企業の事例で学ぶウェルビーイング指標の活用方法
成功企業は、単にウェルビーイングに“取り組んでいる”だけでなく、明確な指標を持ち、定点観測し、改善サイクルを回しています。たとえば、エンゲージメント指標、ストレスチェック結果、健康診断受診率、休職率などをKPIに設定し、経営層に定期的にレポートしているケースが増えています。
重要なのは、経営層を巻き込むために、“経営インパクト”と結びつけて語ることです。たとえば、“エンゲージメント指標5ポイント向上で離職率が10%改善メンタル不調による休職率低下がもたらす医療費削減効果”といった形で、ビジネスへの効果を可視化していきます。
「ウェルビーイングの見える化は、社員の満足度向上だけでなく、企業価値の向上にも直結する戦略投資である」このメッセージをデータで裏付けていることが、成功企業に共通するポイントです。
ウェルビーイング指標の選定と導入手順
指標設計を成功させるためには、まず「目的」「データ入手可能性」「運用体制」という3つの視点が欠かせません。何をゴールに据えるのか(例:離職率低下か、イノベーション促進か)、どのデータが入手しやすいか、運用・改善を誰が担うか、この三点を明確にしてから指標設計に着手する必要があります。
ウェルビーイングKPI設計は、以下の6つのステップに沿って進めるのが効果的です。
- 目的設定
- 既存データ棚卸し
- 必要データの追加設計
- サーベイ設計・実施
- ダッシュボード作成
- 経営報告
導入時のよくある失敗例は、測定可能な指標のみに依存すること。測りやすい指標(例:受診率)だけに偏ると、真のウェルビーイング課題(例:心理的安全性欠如)を見逃してしまいます。あくまで「経営課題解決に直結する指標」を意識して設計することが重要です。
BIツール・人事データを活用したウェルビーイングの測定と改善方法
ウェルビーイングの測定と改善には、既存の人事データとBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用が非常に有効です。たとえば、勤怠データ(残業時間、休暇取得率)、離職率、有給休暇取得率、メンタルヘルス休職者数などは、手元にある重要な情報資産です。これらを可視化し、部署別や年代別に比較することで、ウェルビーイング上の課題が見えてきます。
ウェルビーイング測定ツールを選ぶ際は、「サーベイ設計の質」「分析の深さ」「データ連携性」の3つをチェックしましょう。簡単な満足度調査だけでなく、エンゲージメント、ストレス状態、健康行動など多角的に測れるツールが望ましいです。また、ダッシュボード化しやすく、継続モニタリングが可能なものを選ぶと運用負荷を下げることができます。
重要なのは、測定して終わりにしないこと。現場へのフィードバックループを設計し、“データから得られた課題→改善策→再測定”というサイクルを回すことが、継続的な改善と社員巻き込みにつながります。
よくある質問|ウェルビーイング推進における課題と対策Q&A
「エンゲージメント」との違いは?
ウェルビーイングは、エンゲージメント(組織への情緒的つながり)を含むもっと広い概念です。身体的・精神的健康、社会的つながり、経済的安定など、多面的な視点で社員の充足感を捉えるのが特徴です。
ウェルビーイングは誰が管理・推進すべき?
理想は、人事部門が中心となりつつ、経営企画、産業医、現場マネジメント層と連携して推進する体制です。経営戦略との一貫性を持たせるため、経営層巻き込みも不可欠です。
形骸化しないために必要な工夫
数値目標だけに縛られず、成功経験に基づく継続的な組織文化の醸成が重要です。サーベイ実施後のフィードバックミーティング、ポジティブな変化の可視化など、行動につながる工夫を継続的に行いましょう。
KIRINの「WellWa」が可能にする健康の可視化アプリ
投資対効果を示すサーベイ・分析モデル
ウェルビーイング測定と改善サイクル構築に役立つツールの一つが、キリンが提供する「WellWa」です。わずか25問の設問で、エンゲージメント、ストレス、健康行動などを総合的に可視化。投資対効果(ROI)や業界平均との比較、経年比較も可能なため、経営報告や社外開示にもそのまま転用可能なデータを得ることができます。
まとめ|自社に合ったウェルビーイング指標を設計し、人的資本経営に活かそう
ウェルビーイングを戦略的に経営に生かすなら、“測定できるものしか改善できない”という視点が欠かせません。自社に合った指標を設計し、現場と経営をつなぐ“見える化”を実現することが、これからの人的資本経営には不可欠です。
短期的な成果を求め過ぎず、確実性を担保し、自社らしいウェルビーイング指標づくりのための一歩を踏み出しましょう。